冬の寒いのう日が続くころ、世の中には からからに渇いた冷たい風が吹きすさび、たまに 弱々しげな太陽の光が、一息つかずにいられない地上のために 風の間に間に ちょっとだけぬくもりを投げかけるような・・、そんな ある日。
びゅうびゅう暴れまわって やたら元気な北風と 夏の間 目いっぱい働いて 少々眠たげなお日様が、じつは どっちが強いのか について 話しあうことがありましたけぇ。
北風は ものぶちすごい勢いで 冷たい 凍るような息を あらゆるものに吹きかけてかっちんかちんにしたり、その痛いようなすさまじい勢いで あたりのものを とんでもないところへ吹き飛ばしたり、何もかもを冷たく深く眠らせたり、ひょっとすると 生きているものの命も奪ってしまうことができたので、北風は 自分の強さに だいぶ自信があったのじゃ。
お日様は、考えましたけぇ。
うちは いくら一生懸命 地上のものを照らしたとしても、何かがそのために勢いよく吹き飛んだり、あるいは溶かすことはできても かっちんかちんに凍らせえたり、とんでもない遠くへ 何かを飛ばすなんてことはできないな。
暑さで 山火事を起こしたり ものをからからにしてしまうことはできるけれど、どうなんだろう? 今は とくに 北風さんのほうが つよいのかなぁ・・、
ところで、そうやって 北風さんとお日様が あれやれこれやれと話し合っているちょうどそのとき、ひとりの旅人が 冷たい道を だいぶつらい思いをしながら やってきましたけぇ。
「そうだ! いいことがある。」北風さんは言いましたけぇ。
「ひとつ ためしに こういうことをやってみようじゃありませんか。
あそこを通る旅人、あの男の着ている外套を うちが吹き飛ばしてやりましょう。
お日様には なかなか できないことでしょうから、うちにそれができたら わたしがおひさまよりも強いってことになりますね?」
そして 北風は その冷たい氷のような息を 鋭く 強く ひとりで広い枯れ果てた草原を歩いている旅人に向かって いきなり吹きつけ始めましたけぇ。
「やあ! どうしたことだ!いきなり 風が強くなってきたぞ。いやはや これでは 先へ進めないし、どうにも寒くて仕方ない。」
旅人はそういいながら、一生懸命 帽子を手で押さえ、外套の前をかき合わせましたけぇ。
「それ!もうひと吹き!」 北風は むきになって なおも吹き付けますけぇ。
しかし、北風が その冷たい息を吹き付ければ吹きつけるほど、旅人は なおも しっかりと帽子を深くかり、また それが飛ばされないように 首巻でくくりつけたり、外套の襟を立て、体を丸めて できるだけ風を受けないように工夫するなどして、風が吹くたびに もっともっと必死になって 外套を体から離さないようにしようとしますけぇ。
北風は これでもか と 散々に強い息を吹きつける、旅人は ぎゅうっと外套を体に押さえつける。。こんなことの繰り返しで 一向 外套は吹き飛ばされそうにないんよ。
しばらくして、もうこれ以上は続かない というほど、息を吹き続けた北風は、真っ赤な顔をしていいましたけぇ。
「もういけんだ!これ以上は ふきつづけられない!やぁ なんて 頑固な旅人なんだ!」
それまでの様子を じっと見ていたお日様は
「では うちの番だね。さぁて どうなるかな・・?」
といって 風の途絶えた広い草原に へとへとになってたたずんでいる旅人に向かって、暖かな光を さんさんと注ぎ始めましたけぇ。
「あれ?風がやんだと思ったら、どうだろう?このあたたかさは・・!
まるで 春が来たみたいだ。やぁ これは ありがたい!さぁ いまのうちに できるだけ先まで歩いていこう。」
旅人は そういいながら、帽子を押さえていた首巻を取り、それを手にもって 元気よく歩き出しましたけぇ。
お日様は ニコニコしながら 旅人の上に なおも 暖かな光を投げかけますけぇ。
しばらくいくと 旅人は あまりの暖かさに うれしくなって口笛を吹き、足取りも軽く すこしずつ速さを増して 歩くようになりましたけぇ。
北風は すこし心配なきもちで それを見ていましたが、お日様は そうか そんなにうれしのなら もう少し、と それまでよりも もっと 明るい日差しで 旅人を照らしましたけぇ。
「いやぁ!これは ほんとに ありがたい。しかし なんという今日の天気だろう。
いやいや とにかく 暑いのうほどになってきたからには、上着を脱いで歩かなくては きているものが 汗でびしょびしょになってしまう。」
ついに 旅人は、その外套を脱ぎ、シャツの前を開き、袖とズボンのすそを捲り上げて 陽気な歌を歌いながら 元気な小走りで 向こうへいってしまいましたけぇ。
「さぁ、北風さん。どうですかね?あんたが あんなに懸命になって 強くて鋭い息を吹きつけても 一向 外套を手放さなかった旅人が、うちが にこにこして沢山の光を投げかけただけで、外套どころか シャツの前をあけたり 袖をまくったりして、すっかり元気になって 旅を続けるようになってしまいましたよ。」
すっかりしょげ返った北風は 情けない顔をして 何も言うことができずに、ちいさくなって すごすごと 北の空へ帰っていったということじゃ。
びゅうびゅう暴れまわって やたら元気な北風と 夏の間 目いっぱい働いて 少々眠たげなお日様が、じつは どっちが強いのか について 話しあうことがありましたけぇ。
北風は ものぶちすごい勢いで 冷たい 凍るような息を あらゆるものに吹きかけてかっちんかちんにしたり、その痛いようなすさまじい勢いで あたりのものを とんでもないところへ吹き飛ばしたり、何もかもを冷たく深く眠らせたり、ひょっとすると 生きているものの命も奪ってしまうことができたので、北風は 自分の強さに だいぶ自信があったのじゃ。
お日様は、考えましたけぇ。
うちは いくら一生懸命 地上のものを照らしたとしても、何かがそのために勢いよく吹き飛んだり、あるいは溶かすことはできても かっちんかちんに凍らせえたり、とんでもない遠くへ 何かを飛ばすなんてことはできないな。
暑さで 山火事を起こしたり ものをからからにしてしまうことはできるけれど、どうなんだろう? 今は とくに 北風さんのほうが つよいのかなぁ・・、
ところで、そうやって 北風さんとお日様が あれやれこれやれと話し合っているちょうどそのとき、ひとりの旅人が 冷たい道を だいぶつらい思いをしながら やってきましたけぇ。
「そうだ! いいことがある。」北風さんは言いましたけぇ。
「ひとつ ためしに こういうことをやってみようじゃありませんか。
あそこを通る旅人、あの男の着ている外套を うちが吹き飛ばしてやりましょう。
お日様には なかなか できないことでしょうから、うちにそれができたら わたしがおひさまよりも強いってことになりますね?」
そして 北風は その冷たい氷のような息を 鋭く 強く ひとりで広い枯れ果てた草原を歩いている旅人に向かって いきなり吹きつけ始めましたけぇ。
「やあ! どうしたことだ!いきなり 風が強くなってきたぞ。いやはや これでは 先へ進めないし、どうにも寒くて仕方ない。」
旅人はそういいながら、一生懸命 帽子を手で押さえ、外套の前をかき合わせましたけぇ。
「それ!もうひと吹き!」 北風は むきになって なおも吹き付けますけぇ。
しかし、北風が その冷たい息を吹き付ければ吹きつけるほど、旅人は なおも しっかりと帽子を深くかり、また それが飛ばされないように 首巻でくくりつけたり、外套の襟を立て、体を丸めて できるだけ風を受けないように工夫するなどして、風が吹くたびに もっともっと必死になって 外套を体から離さないようにしようとしますけぇ。
北風は これでもか と 散々に強い息を吹きつける、旅人は ぎゅうっと外套を体に押さえつける。。こんなことの繰り返しで 一向 外套は吹き飛ばされそうにないんよ。
しばらくして、もうこれ以上は続かない というほど、息を吹き続けた北風は、真っ赤な顔をしていいましたけぇ。
「もういけんだ!これ以上は ふきつづけられない!やぁ なんて 頑固な旅人なんだ!」
それまでの様子を じっと見ていたお日様は
「では うちの番だね。さぁて どうなるかな・・?」
といって 風の途絶えた広い草原に へとへとになってたたずんでいる旅人に向かって、暖かな光を さんさんと注ぎ始めましたけぇ。
「あれ?風がやんだと思ったら、どうだろう?このあたたかさは・・!
まるで 春が来たみたいだ。やぁ これは ありがたい!さぁ いまのうちに できるだけ先まで歩いていこう。」
旅人は そういいながら、帽子を押さえていた首巻を取り、それを手にもって 元気よく歩き出しましたけぇ。
お日様は ニコニコしながら 旅人の上に なおも 暖かな光を投げかけますけぇ。
しばらくいくと 旅人は あまりの暖かさに うれしくなって口笛を吹き、足取りも軽く すこしずつ速さを増して 歩くようになりましたけぇ。
北風は すこし心配なきもちで それを見ていましたが、お日様は そうか そんなにうれしのなら もう少し、と それまでよりも もっと 明るい日差しで 旅人を照らしましたけぇ。
「いやぁ!これは ほんとに ありがたい。しかし なんという今日の天気だろう。
いやいや とにかく 暑いのうほどになってきたからには、上着を脱いで歩かなくては きているものが 汗でびしょびしょになってしまう。」
ついに 旅人は、その外套を脱ぎ、シャツの前を開き、袖とズボンのすそを捲り上げて 陽気な歌を歌いながら 元気な小走りで 向こうへいってしまいましたけぇ。
「さぁ、北風さん。どうですかね?あんたが あんなに懸命になって 強くて鋭い息を吹きつけても 一向 外套を手放さなかった旅人が、うちが にこにこして沢山の光を投げかけただけで、外套どころか シャツの前をあけたり 袖をまくったりして、すっかり元気になって 旅を続けるようになってしまいましたよ。」
すっかりしょげ返った北風は 情けない顔をして 何も言うことができずに、ちいさくなって すごすごと 北の空へ帰っていったということじゃ。
↓広島弁でいうと…
冬の寒いのう日が続くころ、世の中にゃぁ からからに渇いたひやい風が吹きすさび、たまに 弱々しげな太陽の光が、一息つかんとぉにいらりゃぁせん地上のために 風の間に間に ちぃとだけぬくもりを投げかけるような・・、そがぁな ある日。
びゅうびゅう暴れまわって やたら元気な北風と 夏の間 目えっと働いて ちぃと眠たげなお日様が、じつは どっちが強いんか について 話しあうことがあったけぇ。
北風は もんぶちすごい勢いで ひやい 凍るような息を あらゆるもんに吹きかけてかっちんかちんにしたり、その痛いようなすさまじい勢いで あたりのもんを とんでもないところへ吹き飛ばしたり、何もかもをつめとぉ深く眠らせたり、ひょっとすりゃぁ 生きとるもんの命も奪ってしまうことができたけぇ、北風は 自分の強さに だいぶ自信があったのじゃ。
お日様は、考えたけぇ。
うちは なんぼ一生懸命 地上のもんを照らしたとしても、何かがそのために勢いよう吹き飛んだり、そーでのぉたら溶かすこたぁできても かっちんかちんに凍らせえたり、とんでもない遠くへ 何かを飛ばすなんてこたぁでけんの。
暑さで 山火事を起こしたり もんをからからにしてしまうこたぁできるが、どうなんじゃろう? 今は とくに 北風さんのほうが つよいんかのぉ・・、
ところで、そうやって 北風さんとお日様が あれやれこれやれと話しおぉとるちょうどそのとき、ひとりの旅人が ひやい道を だいぶつらい思いをしもって やってきましたけぇ。
「そうだ! ええことがあるんじゃ。」北風さんはゆいましたけぇ。
「ひとつ ためしに こがぁなことをやってみようじゃなぃんか。
あそこを通る旅人、あの男の着とる外套を うちが吹き飛ばしちゃりましょう。
お日様にゃぁ なかなか でけんことじゃろぉから、うちにそれができたら わしがおひさまよりも強いってことになるんじゃね?」
ほいで 北風は そのひやい氷んような息を 鋭く 強く ひとりで広い枯れ果てた草原を歩いとる旅人に向こぉて いきなり吹きつけ始めたけぇ。
「やあ! どうしたことだ!いきなり 風が強くなってきたぞ。いやはや これじゃぁ 先へ進めないし、どうにもさぶぅてしゃぁなぃんじゃ。」
旅人はそうええもって、一生懸命 帽子を手で押さえ、外套の前をかき合わせたけぇ。
「そりんさい!もうひと吹き!」 北風は むきになって なおも吹き付けますけぇ。
ほぃじゃが、北風が そのひやい息を吹き付けりゃぁ吹きつけるほど、旅人は なおも きしゃっと帽子を深くかり、また それが飛ばされんように 首巻でくくりつけたり、外套の襟を立て、体を丸めて できるだけ風を受けんように工夫するやらして、風が吹くたびに もっともっと必死になって 外套を体から離さんようにしようとするんじゃけぇ。
北風は これでもか と 散々に強い息を吹きつける、旅人は ぎゅうっと外套を体に押さえつける。。こがぁなことの繰り返しで 一向 外套は吹き飛ばされそうにないんよ。
しばらくして、もうこれ以上は続かん っちゅうほど、息を吹き続けた北風は、真っ赤な顔をしてええましたけぇ。
「もういけんだ!これ以上は ふきつづけらりゃぁせん!やぁ なんて 頑固な旅人なんだ!」
それまでの様子を じっと見ょぉったお日様は
「じゃぁ うちの番じゃのぉ。さぁて どうなるかな・・?」
ゆぅて 風の途絶えた広い草原に へとへとになっとったたずんどる旅人に向こぉて、ぬくい光を さんさんと注ぎ始めたけぇ。
「あれ?風がやんじゃゆぅて思うたら、どうじゃろう?このぬくさは・・!
まるで 春が来たみたいじゃ。やぁ こりゃぁ ありがたい!さぁ いまのうちに できるだけ先まで歩いていこう。」
旅人は そうええもって、帽子を押さえとった首巻を取り、それを手にもって 元気よう歩き出したけぇ。
お日様は ニコニコしもって 旅人の上に なおも ぬくい光を投げかけますけぇ。
しばらくいくと 旅人は あまりの暖かさに うれしゅうなって口笛を吹き、足取りもかるぅ ちぃとずつ速さを増して 歩くようになったけぇ。
北風は ちぃと心配なきもちで それを見とったが、お日様は ほうか そがぁにうれしんじゃったら もちぃと、と それまでよりも もっと 明るい日差しで 旅人を照らしたけぇ。
「いやぁ!こりゃぁ げに ありがたい。ほぃじゃが なんっちゅう今日の天気じゃろう。
いやいや とにかく 暑いのうほどになってきたけぇゃぁ、上着を脱いで歩かにゃぁ きとるもんが 汗でびしょびしょになってしまう。」
ついに 旅人は、その外套を脱ぎ、シャツの前を開き、袖とズボンのすそを捲り上げて 陽気な歌を歌いもって 元気な小駆けりで 向こうへいってしもぉたけぇ。
「さぁ、北風さん。どうかのぉ?あんたが あがぁに懸命になって 強くて鋭い息を吹きつけても 一向 外套を手放さなかった旅人が、うちが にこにこしてえっとの光を投げかけたばっかしで、外套どころか シャツの前をあけたり 袖をまくったりして、すっかり元気になって 旅を続けるようになってしもぉたよ。」
すっかりしょげ返った北風は 情けん顔をして 何もゆうことができんとぉに、ちいさくなって すごすごと 北の空へ帰ってったっちゅうことじゃ。
びゅうびゅう暴れまわって やたら元気な北風と 夏の間 目えっと働いて ちぃと眠たげなお日様が、じつは どっちが強いんか について 話しあうことがあったけぇ。
北風は もんぶちすごい勢いで ひやい 凍るような息を あらゆるもんに吹きかけてかっちんかちんにしたり、その痛いようなすさまじい勢いで あたりのもんを とんでもないところへ吹き飛ばしたり、何もかもをつめとぉ深く眠らせたり、ひょっとすりゃぁ 生きとるもんの命も奪ってしまうことができたけぇ、北風は 自分の強さに だいぶ自信があったのじゃ。
お日様は、考えたけぇ。
うちは なんぼ一生懸命 地上のもんを照らしたとしても、何かがそのために勢いよう吹き飛んだり、そーでのぉたら溶かすこたぁできても かっちんかちんに凍らせえたり、とんでもない遠くへ 何かを飛ばすなんてこたぁでけんの。
暑さで 山火事を起こしたり もんをからからにしてしまうこたぁできるが、どうなんじゃろう? 今は とくに 北風さんのほうが つよいんかのぉ・・、
ところで、そうやって 北風さんとお日様が あれやれこれやれと話しおぉとるちょうどそのとき、ひとりの旅人が ひやい道を だいぶつらい思いをしもって やってきましたけぇ。
「そうだ! ええことがあるんじゃ。」北風さんはゆいましたけぇ。
「ひとつ ためしに こがぁなことをやってみようじゃなぃんか。
あそこを通る旅人、あの男の着とる外套を うちが吹き飛ばしちゃりましょう。
お日様にゃぁ なかなか でけんことじゃろぉから、うちにそれができたら わしがおひさまよりも強いってことになるんじゃね?」
ほいで 北風は そのひやい氷んような息を 鋭く 強く ひとりで広い枯れ果てた草原を歩いとる旅人に向こぉて いきなり吹きつけ始めたけぇ。
「やあ! どうしたことだ!いきなり 風が強くなってきたぞ。いやはや これじゃぁ 先へ進めないし、どうにもさぶぅてしゃぁなぃんじゃ。」
旅人はそうええもって、一生懸命 帽子を手で押さえ、外套の前をかき合わせたけぇ。
「そりんさい!もうひと吹き!」 北風は むきになって なおも吹き付けますけぇ。
ほぃじゃが、北風が そのひやい息を吹き付けりゃぁ吹きつけるほど、旅人は なおも きしゃっと帽子を深くかり、また それが飛ばされんように 首巻でくくりつけたり、外套の襟を立て、体を丸めて できるだけ風を受けんように工夫するやらして、風が吹くたびに もっともっと必死になって 外套を体から離さんようにしようとするんじゃけぇ。
北風は これでもか と 散々に強い息を吹きつける、旅人は ぎゅうっと外套を体に押さえつける。。こがぁなことの繰り返しで 一向 外套は吹き飛ばされそうにないんよ。
しばらくして、もうこれ以上は続かん っちゅうほど、息を吹き続けた北風は、真っ赤な顔をしてええましたけぇ。
「もういけんだ!これ以上は ふきつづけらりゃぁせん!やぁ なんて 頑固な旅人なんだ!」
それまでの様子を じっと見ょぉったお日様は
「じゃぁ うちの番じゃのぉ。さぁて どうなるかな・・?」
ゆぅて 風の途絶えた広い草原に へとへとになっとったたずんどる旅人に向こぉて、ぬくい光を さんさんと注ぎ始めたけぇ。
「あれ?風がやんじゃゆぅて思うたら、どうじゃろう?このぬくさは・・!
まるで 春が来たみたいじゃ。やぁ こりゃぁ ありがたい!さぁ いまのうちに できるだけ先まで歩いていこう。」
旅人は そうええもって、帽子を押さえとった首巻を取り、それを手にもって 元気よう歩き出したけぇ。
お日様は ニコニコしもって 旅人の上に なおも ぬくい光を投げかけますけぇ。
しばらくいくと 旅人は あまりの暖かさに うれしゅうなって口笛を吹き、足取りもかるぅ ちぃとずつ速さを増して 歩くようになったけぇ。
北風は ちぃと心配なきもちで それを見とったが、お日様は ほうか そがぁにうれしんじゃったら もちぃと、と それまでよりも もっと 明るい日差しで 旅人を照らしたけぇ。
「いやぁ!こりゃぁ げに ありがたい。ほぃじゃが なんっちゅう今日の天気じゃろう。
いやいや とにかく 暑いのうほどになってきたけぇゃぁ、上着を脱いで歩かにゃぁ きとるもんが 汗でびしょびしょになってしまう。」
ついに 旅人は、その外套を脱ぎ、シャツの前を開き、袖とズボンのすそを捲り上げて 陽気な歌を歌いもって 元気な小駆けりで 向こうへいってしもぉたけぇ。
「さぁ、北風さん。どうかのぉ?あんたが あがぁに懸命になって 強くて鋭い息を吹きつけても 一向 外套を手放さなかった旅人が、うちが にこにこしてえっとの光を投げかけたばっかしで、外套どころか シャツの前をあけたり 袖をまくったりして、すっかり元気になって 旅を続けるようになってしもぉたよ。」
すっかりしょげ返った北風は 情けん顔をして 何もゆうことができんとぉに、ちいさくなって すごすごと 北の空へ帰ってったっちゅうことじゃ。