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 殿様は、旅行を終えて、また、御殿に帰りました。役人らがうやうやしく迎えました。殿様は、百姓の生活がいかにも簡単で、のんきで、お世辞こそいわないが、親切であったのが身にしみて、それを忘れることがありませんでした。  食事のときになりました。すると、膳の上には、例の軽い、薄手の茶碗が乗っていました。それを見ると、たちまち殿様の顔色は曇りました。また、今日から熱い思いをしなければならぬかと、思ったからであります。  ある日、殿様は、有名な陶器師を御殿へ呼びました。陶器店の主人は、いつかお茶碗を造ったことがあったので、おほめくださるのではないかと、内心喜びながら参上すると、殿様は、言葉静かに、 「おまえは、陶器を焼く名人であるが、いくら上手に焼いても、しんせつ心がないと、なんの役にもたたない。俺は、おまえの造った茶碗で、毎日苦しい思いをしている。」と諭しました。  陶器師は、恐れ入って御殿を下がりました。それから、その有名な陶器師は、厚手の茶碗を造る普通の職人になったということです。
↓大阪弁でいうと…
 殿様は、旅行を終えて、また、御殿に帰ったんや。役人らがうやうやしく迎えたんや。殿様は、百姓の生活がいかにも簡単で、のんきで、お世辞こそええまへんが、親切やったのが身にしみて、それを忘れることがおまへんやった。  食事のときになりよったんや。すると、膳の上には、例の軽い、薄手の茶碗が乗っておったんや。それを見ると、たちまち殿様の顔色は曇ったんや。また、今日から熱い思いをせなならぬかと、思ったからであるんや。  ある日、殿様は、有名な陶器師を御殿へ呼びたんや。陶器店の主人は、いつかお茶碗を造ったことがあったさかい、おほめくださるのではおまへんかと、内心喜びながら参上すると、殿様は、言葉静かに、 「おまえは、陶器を焼く名人であるが、なんぼ上手に焼いても、しんせつ心がないと、なんの役にもたたない。わては、おまえの造った茶碗で、毎日苦しい思いをしとる。」と諭したんや。  陶器師は、恐れ入って御殿を下がったんや。ほんで、その有名な陶器師は、厚手の茶碗を造る普通の職人になりよったちうことや。
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